英文会計実務講座

【英文会計実務講座】<第8回>決算後の処理を覚えましょう

年次決算後の処理 procedures after year-end closing
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スージー
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英文会計の仕事がしたい方のための無料講座です。

当記事は、「英文会計実務講座」の8回目で、【英文会計実務講座】<第7回>決算スケジュールと決算対策を理解しましょうの続きとなります。

 

「英文会計実務講座」がお役に立つ方

  1. 「英文会計入門講座」で学習していただいた方
  2. USCPA(米国公認会計士)の前段階で英文会計の学習を始めたばかりの方
  3. ACCA(英国勅許公認会計士)の学習をしている方・しようと考えている方
  4. 仕事などで、英語で会計を理解する必要がある方
  5. 英語が得意で、会計の知識を身につけてキャリアアップしたい方
  6. 英文会計の実務が知りたい方

 

英文会計の基礎については、「英文会計入門講座」でご説明しています。

まだ「英文会計入門講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計入門講座】<第1回>基本的な会計用語を英語で覚えていきましょうから始めてください。

 

1.年次決算後の処理(Procedures after Year-end Closing)とは

会社は、財務諸表(Financial Statements:FS)によって、一定期間の経営成績を利害関係者に報告します。

その期間内の正しい期間損益の実現が可能になるように、必要に応じて期中の取引を修正する処理を決算(Closing)と言います。

 

決算末日を迎えて、その期が終了したのち、会社は財務諸表(Financial Statements:FS)を作成し、外部監査人(Independent Auditor)による監査(Audit)を受けます。

その後、株主総会(Shareholders’ Meeting)を開催し、財務諸表(Financial Statements:FS)の内容およびその期の利益の処分に関して、株主(Shareholder)の承認を得ます。

さらに、最終の数字を基に、その期に発生した利益に対する税務申告を行い、納税することになります。

 

また、決算日の翌日は既に翌期であり、会社のビジネスは継続していくため、その期の決算処理に加え、翌期の日常業務の処理も並行して行うこととなります。

翌期は新しい会計期間であるため、経理の方針やレポートの方式が変更となる場合がありますし、さらに、システム上の前期データの更新処理が必要となります。

 

つまり、決算後の処理(Procedures after Year-end Closing)として、以下のようなことがあります。

決算後の処理(Procedures after Year-end Closing)

  1. 監査(Audit)
  2. 株主総会(Shareholders’ Meeting)
  3. 税務申告(Tax Return Filing)
  4. 新会計年度におけるデータの更新

これらにより、経理部(Accounting Department)は、年次決算(Year-end Closing)前から数か月間は、忙しい時期が続きます。

 

2.監査(Audit)

まずは、監査(Audit)から見ていきます。

 

(1)監査(Audit)とは

監査(Audit)とは、「会社が作成した財務諸表(Financial Statements:FS)が正しい=会計原則を順守している」か、公認会計士(Certified Public Accountant)がチェックして、会社から独立した立場で意見(Opinion)を表明することです。

 

(2)監査(Audit)によって保証されるもの

上場企業(Listed Company、Public Company)や一定の規模以上の会社は、財務諸表(Financial Statements:FS)を広く社会一般に公表します。

ですが、会社自身が、会社が作成した財務諸表(Financial Statements:FS)を保証するわけにはいきません。

そこで、会社から独立した外部監査人(Independent Auditor)が、会社の財務諸表(Financial Statements:FS)が正しいことを保証します。

 

外部監査人(Independent Auditor)は、「会社が近いうちに倒産しないこと」を保証するわけではありません。

「会社が作成した財務諸表(Financial Statements:FS)が、会計基準(Accounting Principles)に基づいて、会社の実態を正しく表したものであること」を監査報告書(Audit Report)で保証します。

 

監査報告書(Audit Report)は、3種類の意見(Opinion)があります。

監査報告書(Audit Report)の意見(Opinion)

  1. 適正意見(Unqualified Opinion):「財務諸表(Financial Statements:FS)が正しいことを認める」
  2. 不適正意見(Qualified Opinion):「財務諸表(Financial Statements:FS)が正しく作成されていないことを認める」
  3. 意見差し控え(Disclaimed Report):「財務諸表(Financial Statements:FS)が正いか分からないので、意見を差し控える」

 

業績が良い会社は良いなりの財務諸表(Financial Statements:FS)を作成し、業績が良くない会社は良くないなりの財務諸表(Financial Statements:FS)を作成しているのであれば、外部監査人(Independent Auditor)は、適正意見(Unqualified Opinion)を出して、その信憑性を保証します。

会社が業績が良くないのに良いような財務諸表(Financial Statements:FS)を作成している場合には、外部監査人(Independent Auditor)は、不適正意見(Qualified Opinion)を出します。

 

現実的には、不適正意見(Qualified Opinion)は、上場企業にとっては上場廃止につながる可能性があるため、不適正意見(Qualified Opinion)が出されることはほとんどありません。

まずは、外部監査人(Independent Auditor)と会社の上層部との折衝が行われます。

最終的に、財務諸表(Financial Statements:FS)などの修正などの折り合いがつかない場合、外部監査人(Independent Auditor)は、意見差し控え(Disclaimed Report)を出して、その会社の任務を降り、外部監査人(Independent Auditor)の交代となります。

 

また、外部監査人(Independent Auditor)は、会社にとっては独立した存在とはいえ、会社はその監査人(Auditor)のクライントであり、監査料(Audit Fee)を受け取ることになります。

よって、クライアントにとって都合の良くないことは言いづらいため、監査人(Auditor)と会社の馴れ合いが問題視されています。

 

(3)外部監査(Independent Audit)の義務

会社が監査(Audit)を受ける義務は、会社の規模、その国の法律や取引所の要請などによって異なります。

必ずしも、すべての会社に監査(Audit)の義務が課されているわけではありません。

 

通常は、上場企業(Listed Company、Public Company)や大規模な会社は、全ての項目の監査(Full Audit)が必要です。

また、外資系の日本の子会社などでは、予算や重要性の関係から、売上(Sales)などの主要項目に限定し、監査(Audit)を受ける場合があります。

 

3.株主総会(Shareholders’ Meeting)

つぎに、株主総会(Shareholders’ Meeting)について見ていきます。

 

(1)株主総会(Shareholders’ Meeting)とは

株主総会(Shareholders’ Meeting)は、株主(Shareholder)が、会社に関わる重要な事項を決議(Resolution)するために開催されます。

通常は、会社の利益処分(Appropriation of Retained Earnings)や、役員(Director)の選任が決議事項となります。

また、会社の定款の変更や、大規模な営業譲渡などを行う場合にも、株主総会(Shareholders’ Meeting)の決議(Resolution)が必要となります。

 

株主(Shareholder)が株主総会(Shareholders’ Meeting)で議決権を行使するためには、会社の定める基準日に株主(Shareholder)である必要があります。

通常は、決算期末時点で株主名簿に記載されている株主(Shareholder)が対象となります。

 

(2)株主総会(Shareholders’ Meeting)の開催

株主総会(Shareholders’ Meeting)は、会社が決めた場所に集まって行われます。

ですが、最近では当日会場に行けない株主(Shareholder)も、会社が送付する招集通知に同封された議決権行使書やインターネットを通して、議決権を行使できます。

 

招集通知は、株主総会(Shareholders’ Meeting)の開催に先立って、株主(Shareholder)宛てに会社から送付されます。

営業報告書、財務諸表(Financial Statements:FS)、議決権の行使に関する参考資料などが同封されます。

 

会社内では、経理部(Accounting Department)がこれらの資料を作成し、さらに外部監査人(Independent Auditor)による監査(Audit)を受けたものを用意します。

株主総会(Shareholders’ Meeting)の実際の運営は、総務部(Administration Department)やIR部(Investors’ Relation Department)が行うことが多いです。

 

4.税務申告(Tax Return Filing)

さらに、税務申告(Tax Return Filing)について見ていきます。

 

(1)税務申告(Tax Return Filing)とは

日本や米国では、「納税申告制度」が取り入れられているため、会社は、その会計期間の課税所得を自主申告し、納税します。

申告および納税の期限は、その国及び税金の種類によってさまざまです。

申告または納税が、定められた期限を過ぎてしまうと、罰金や延滞税などのペナルティーが科されます。

 

(2)税務調査(Tax Audit)

税務申告後、その申告した内容に関して、税務調査(Tax Audit)を受ける場合があります。

税務調査(Tax Audit)の内容は、必ずしも一律ではありませんが、調査時における帳簿の記帳状況・書類の保存状況・在庫の状況などを把握し、それから詳細な帳簿調査が行われます。

 

最近は、経済取引の国際化・広域化・複雑化に伴って、申告納税に関する不正が巧妙化しています。

よって、必要な場合には、取引先に対する調査や、取引銀行に対する預貯金の調査も行われます。

 

5.新会計年度におけるデータ更新など

最後に、新会計年度における会計データの更新などについて見ていきます。

新会計年度になってすぐに行うこと

  1. データの更新
  2. データの保管
  3. 会計システムの設定変更

 

(1)データの更新

年次決算(Year-end Closing)を一区切りとして、会社は、当期の財務諸表(Financial Statements:FS)を作成するのですが、翌期はすぐに始まり、当期の処理の間も会社の営業活動は待ってくれません。

当期の決算日の翌日は翌期であるため、新年度の経理データを入力するために、システム上の当期のデータを更新しなければなりません。

 

システムを使っている場合、たとえば経過勘定項目の再振替仕訳などは、実務上は、手入力の必要はなく、当期データの更新処理をすることで、翌期首の処理として自動的に再振替が行われます。

システムを使わない場合は、振替仕訳を手作業ですべて行うことになります。

 

(2)データの保管

たとえ期中には行わなくても、年次決算(Year-end Closing)の締め後すぐに、確定した数字に基づく総勘定元帳(General Ledger)や補助元帳(Sub Ledger)などのデータをプリントアウトし、社内の記録として保管します。

プリントアウトした帳簿は、後日、社内で遡って取引を検証したり、税務調査(Tax Audit)の際の帳簿調査のために提出されたりします。

 

(3)会計システムの設定変更

経理処理の一貫性をもたせるため、経理に関し、社内手続きやレポートの方法の変更をする場合、期中で変更せず、翌期首から移行することが多いでしょう。

変更の要請に応じ、会計システムを一部設定しなおすなどの処理が必要となることがあり、関連部署にとっては、新年度のデータ更新と併せて作業することになります。

 

 

以上、「【英文会計実務講座】<第8回>決算後の処理を覚えましょう」でした。

スージー
スージー
お疲れさまでした。

いかがでしたか?

決算後の処理について理解していただけたでしょうか?

英文会計実務講座は、以上で終わりです。

【英文会計中級講座】<第1回>会計の基本概念を覚えましょうにお進みください。

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