英文会計中級講座

【英文会計中級講座】<第6回>会社の税金について理解しましょう

法人税 Corporate TAX
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英文会計の知識をさらに深めたい方のための無料講座です。

当記事は、「英文会計中級講座」の6回目で、【英文会計中級講座】<第5回>その他の引当金と債務の計上について理解しましょうの続きとなります。

英文会計の基礎については、「英文会計入門講座」でご説明しています。

まだ「英文会計入門講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計入門講座】<第1回>基本的な会計用語を英語で覚えていきましょうから始めてください。

英文会計の実務については、「英文会計実務講座」でご説明しています。

まだ「英文会計実務講座」で学習していただいていない場合は、【英文会計実務講座】<第1回>会社の経理部について理解しましょうから始めてください。

 

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はじめに

税収は、国における歳入の主な財源の1つです。

個人が所得についての税金を国に納付するように、会社も、会計期間(Accounting Period)の利益に基づく課税所得(Taxable Income)に応じて、税金を納付します。

 

また、会社は、その活動の中で国が定めるさまざまな種類の税金を納付します。

さらに、消費税(Consumption Tax)などが課せられており、最終負担は消費者ですが、納付は会社を通じて行われます。

 

税金は、それぞれの国の法律によってさまざまで、政策やその国の経済構造を操作・変革するツールとして、政権交代や景気動向その他により、随時大幅に改正されます。

よって、今回は全ての税金を網羅することはできませんが、会社が納付する税金として代表的なものをいくつかと、その経理処理についてご説明していきます。

 

1.税務当局(Tax Office)

各国では、税金の徴収や事務手続きを司る、税務当局(Tax Office)を設けています。

日本では、国税庁(National Tax Agency:NTA)、米国では、米国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)となります。

会社には、これらの税務当局(Tax Office)を窓口として、税務申告書(Tax Return)を提出し、国に対して納税を行うこととなります。

 

2.税金(Tax)の種類

さいしょに、税金の種類について見ていきましょう。

税金(Tax)の種類

  1. 直接税(Direct Tax)と間接税(Indirect Tax)
  2. 国税(National Tax)と地方税(Local Tax)
  3. 申告納税(Self-declaration and Tax Payment)と源泉徴収(Tax Withholding)

 

(1)直接税(Direct Tax)と間接税(Indirect Tax)

直接税(Direct Tax)は、その税金を負担する者が納税する税金のことで、会社の法人税(Corporate Tax)や個人の所得税(Individual Income Tax)などが代表的なものです。

また、間接税(Indirect Tax)は、税金の最終負担者以外によって納税される税金のことで、消費税(Consumption Tax)、印紙税(Stamp Tax)、酒税などがあります。

 

(2)国税(National Tax)と地方税(Local Tax)

日本や米国など、国によっては、国に納める税金以外に、都道府県や州、市区町村などの地方自治体(Local Government)が独自で税法を定め、納税義務を課している場合もあります。

 

(3)申告納税(Self-declaration and Tax Payment)と源泉徴収(Tax Withholding)

税金の納付方法として、申告納税(Self-declaration and Tax Payment)と源泉徴収(Tax Withholding)があります。

申告納税(Self-declaration and Tax Payment)では、納税義務者が、自ら課税所得額を申告し、納税します。

一方、源泉徴収(Tax Withholding)では、給与の支払いや利息の支払いの際、支払者が給与や利息などから法律に定める税額を控除したのち、全額の支払いをし、その支払い者が納税者に代わって、預かった税金を国に納税します。

 

この源泉徴収(Tax Withholding)制度は、税金の前払い的な性格で、税金の取り漏れを防ぐ目的で多くの国で採用されています。

給与に関し源泉徴収された税金について、日本では、確定申告(Tax Return Filing)により、最終確定税額との差額を納付(Tax Payment)し、または還付(Tax Refund)を受けることになります。

 

3.会社の税金(Corporation Tax)の経理処理

つぎに、会社の税金(Corporation Tax)の経理処理について見ていきましょう。

会社の税金(Corporation Tax)の経理処理

  1. 法人税(Corporate Tax)
  2. 消費税(Consumption Tax)
  3. 預かり源泉税(Withholding Tax)
  4. その他の税金

 

(1)法人税(Corporate Tax)

まずは、会社の所得にかかる税金である、法人税(Corporate Tax)について見ていきましょう。

会社の所得にかかる税金は、文字通り、会社の所得を基に計算される税金です。

日本のように「法人税」という別の税目を設けている国もあれば、所得税の一項目としている国もあります。

 

法人税(Corporate Tax)は、決算(Closing)の結果、計算された純利益をベースに、税法の規定に従って計算される、課税所得(Taxable Income)に課される税金です。

課税所得(Taxable Income)に税率(Tax Rate)を乗じて、税額が計算されます。

 

通常の会社は、年1回の決算(Closing)で、その決算(Closing)による利益の確定後、税務申告書(Tax Return)を作成し、国の税法に定められる期限までに、提出(Tax Return Filing)、および、納税(Tax Payment)を行います。

経理上の処理としては、税額の計上時と納付時に仕訳(Journal Entry)を行います。

 

①税額の計上(決算による利益確定)

会社の所得にかかる税金は、決算(Closing)確定後に金額が算出されます。

ですが、その期の所得金額に対応させるため、その期の財務諸表(Financial Statements:FS)に税額を反映させます。

よって、決算(Closing)締め後に税額を計算し、計上します。

税金費用(Income Tax Expense)勘定、および、未払税金(Income Tax Payable)勘定を使用します。

税額計上の仕訳(Journal Entry)

Dr)税金費用(Income Tax Expense)

Cr)未払税金(Income Tax Payable)

税金費用(Income Tax Expense)勘定は、損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)項目、未払税金(Income Tax Payable)勘定は、貸借対照表(Balance Sheet:BS)項目です。

日本では、会社に所得にかかる税金は、「法人税」という税目であるため、費用計上の際は、税金費用(Income Tax Expense)の代わりに「法人税等」という勘定科目を使用します。

この「法人税等」には、その会社の所在地の都道府県や市区町村に対し、申告納税する法人住民税(Inhabitant Tax)が含まれます。

②納税時

納税額が確定し、税金を実際に納税した場合に、仕訳(Journal Entry)を行います。

納税の仕訳(Journal Entry)

Dr)未払税金(Income Tax Payable)

Cr)現金(Cash)

③中間納税時

国によって申告・納税のタイミングは異なりますが、どの国でも中間納税制度が取り入れられ、その期の会社の所得にかかる税金の前払いとして、半期などの単位で中間納税が行われます。

通常、半期や、その他の決められた期間における仮の決算(Closing)に基づく税額か、前期の納税額を基に、半期や、その他の期間相当として、按分された金額により申告することになります。

中間納税の仕訳(Journal Entry)

Dr)未払税金(Income Tax Payable)

Cr)現金(Cash)

この処理により、本来は負債(Liability)であるため貸方(Credit)残となるべき未払税金(Income Tax Payable)が、一時的に借方(Debit)残となってしまいますが、期末にその期の税金を見積もり計上する際に調整されます。

 

(2)消費税(Consumption Tax)

つぎに、消費税(Consumption Tax)について見ていきましょう。

消費税(Consumption Tax)は、商品(Merchandise)の販売(Sales)やサービスの提供に対して課せられる税金です。

商品の価格に加算され、最終的には消費者が負担しますが、税金の納付は会社が行います。

 

よって、会社は、仕入れたときに仕入(Purchase)代金とともに消費税(Consumption Tax)を仕入先に支払い、商品を販売したときに、商品の価額とともに消費税(Consumption Tax)を得意先(Customer)から受け取ります。

得意先(Customer)から受け取った消費税(Consumption Tax)と、仕入先に支払った消費税(Consumption Tax)との差額は、法律に定める期間ごとに計算し、申告・納税することになります。

 

消費税(Consumption Tax)

  1. 納税義務者:会社
  2. 税金負担者:最終消費者

会社は、途中の通過点に過ぎない

 

①消費税(Consumption Tax)の経理処理

経理処理の方法は、税抜き(Tax Exclusive)と税込み(Tax Inclusive)の2通りがありますが、税抜き(Tax Exclusive)が一般的です。

税抜き(Tax Exclusive)による場合の経理処理は、以下のようになります。

税抜き(Tax Exclusive)での消費税(Consumption Tax)の経理処理

  1. 仕入先に消費税を支払い:仮払消費税(Prepaid Consumption Tax)の借方(Debit)に記入
  2. 得意先から消費税を受け取り:仮受消費税(Consumption Tax Receipt)の貸方(Credit)に記入
  3. 期末:仮受消費税(Consumption Tax Receipt)と仮払消費税(Prepaid Consumption Tax)の残高の差額を未納消費税(Consumption Tax Payable)に振替え、納税期限までに納付する。または、未収還付消費税(Consumption Tax Refund)に振替え、還付を受ける。

②消費税(Consumption Tax)の仕訳例

仕訳例を見ていきましょう。

税抜き(Tax Exclusive)での消費税(Consumption Tax)の経理処理例

  • 商品(Merchandise)20,000円を仕入れ(Purchase)、消費税2,000円とともに現金(Cash)で支払った

Dr)仕入(Purchase) 20,000

仮払消費税(Prepaid Consumption Tax)2,000

Cr)現金(Cash) 22,000

 

  • 商品(Merchandise)50,000円を売上げ(Sales)、消費税5,000円とともに現金(Cash)で受け取った

Dr)現金(Cash)55,000

Cr)売上(Sales) 50,000

仮受消費税(Consumption Tax Receipt)5,000

 

  • 会社で使用する備品(Equipment)を10,000円で購入し、消費税1,000円とともに現金(Cash)で支払った

Dr)備品(Equipment)10,000

仮払消費税(Prepaid Consumption Tax)1,000

Cr)現金(Cash)11,000

 

  • 当期の取引(Transaction)は、以上の3つだけであり、決算(Closing)を迎えたため、未納消費税(Consumption Tax Payable)に振り替えた

Dr)仮受消費税(Consumption Tax Receipt)5,000

Cr)仮払消費税(Prepaid Consumption Tax)3,000

未納消費税(Consumption Tax Payable) 2,000

 

  • 納税期限までに、消費税を納付した

Dr)未納消費税(Consumption Tax Payable)2,000

Cr)現金(Cash) 2,000

③消費税(Consumption Tax)の実務

消費税(Consumption Tax)は、国内での消費に限定されて課税されるため、輸出入や国外での消費に関する場合など、支払い、または、受取の際に、消費税(Consumption Tax)が含まれていない場合もあります。

この場合は、消費税(Consumption Tax)を抜き出す作業は不要です。

さらに、実務的には、コンピューターシステムが導入されている会社では、売上(Sales)、または、支払いの計上時に、消費税(Consumption Tax)を手計算で抜き出す必要はありません。

既に消費税(Consumption Tax)について設定されているため、消費税(Consumption Tax)を認識する勘定科目(Account)コードを選んで計上すると、システムが自動的に消費税(Consumption Tax)の抜き出しを行います。

 

(3)預かり源泉税(Withholding Tax)

そして、預かり源泉税(Withholding Tax)について見ていきましょう。

 

①源泉徴収する場合

次のような場合に、会社は、支払額から一定の源泉徴収額(Withholding Tax)を控除して預かり、その控除後の残額を受取人に対して支払い、預かった税額を期限までに納税します。

支払額から源泉徴収額(Withholding Tax)を預かる場合

  1. 会社が、役員(Directors)や従業員(Employees)に対して、報酬・給与の支払いをする場合
  2. 外部の者に対して、弁護士報酬などの料金・報酬の支払いをする場合
  3. 非居住者に対して、一定の支払いをする場合
  4. その他、税法により定められた支払いをする場合

②預かり源泉税(Withholding Tax)の仕訳例

預かった税額は、あとで支払うために預かる支払いの義務であり、預かり源泉税金(Withholding Tax Receipts)などの負債(Liabilities)勘定で計上します。

預かり源泉税(Withholding Tax)の経理処理例

  • 弁護士報酬10,000円について、このうち1,000円を源泉徴収税として控除し、残額を支払った

Dr)弁護士報酬(Legal Expense) 10,000

Cr)預かり源泉税(Withholding Tax Receipts) 1,000

現金(Cash) 9,000

 

  • 預かった源泉徴収税を納税した

Dr)預かり源泉税(Withholding Tax Receipts)1,000

Cr)現金(Cash) 1,000

 

(4)その他の税金

さいごに、そのほかの税金を見ていきましょう。

会社は業務に関連して、国で定める税金を納付することがあります。

たとえば、会社の保有する資産に対して課税される「固定資産税(Property Tax)」があります。

また、契約書・手形・株券などの特定の文書に対して、課税額に相当する収入印紙を貼って納付することを原則としている「印紙税(Stamp Duty)」などがあります。

 

これらを納税したときは、「租税公課(Sundry Tax)」という費用(Expense)勘定を使って仕訳(Journal Entry)をします。

租税公課の仕訳例

  • 会社は、固定資産税(Property Tax)50,000円を納税した

Dr)租税公課(Sundry Tax) 50,000

Cr)現金(Cash) 50,000

 

 

以上、「【英文会計中級講座】<第6回>会社の税金について理解しましょう」でした。

会社の税金について理解していただけたでしょうか?

この回で、英文会計中級講座は終わりです。

【英文会計上級講座】<第1回>無形固定資産について学習しましょうにお進みください。

 

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